日差しが強くなり、生き物たちが一斉に活気づく初夏。5月から6月は、昆虫採集のベストシーズンです!
木々を見上げてカミキリムシを探したり、草原でチョウを追いかけたりするのも楽しいですが、この時期にぜひ挑戦してほしいのが「水生昆虫採集」です。
田んぼや小川には、成虫とは全く違う姿をした昆虫たちが潜む、もう一つの世界が広がっています。先日、私も近所の田んぼ脇の用水路で網を入れてみたところ、魅力的な水生昆虫たちに出会うことができました。
この記事では、初夏の水生昆虫採集の魅力と、観察のポイントをご紹介します。
なぜ5月・6月がオススメ? 水生昆虫の宝庫を探せ
この時期は、田んぼに水が張られ、生き物たちにとって最高の「ゆりかご」となります。水温も上がり、多くの水生昆虫が活発に動き回るため、観察には絶好のタイミングです。
採集に必要な道具
- タモ網
- ライフジャケット
- ウォーターシューズ+靴下:ウォーターシューズは、スリッポンやさんだるたいぷ
- スパッツ:水の中で遊ぶときは肌を出さないことが大事です。
- 白いバット(トレイ):採集した昆虫を一時的に入れ、観察するのに使います。泥の中から見つけやすくなります。
- 観察ケースやバケツ:持ち帰る(またはじっくり観察する)場合に使います。
タモ網
水の中の生き物を捕まえるのに適した網で、円形ではなく、台形など一辺が平らになっていることが特徴の網です。水草や石の下流側に網を置き、足で水草や石の下に潜む水生昆虫を網の中に追いやります。
釣り愛好家が使用するたも網は丈夫で高級なものもありますが、水生昆虫採取ではそれほど高価なものは必要ありません。
※網でガツガツ突くと、網が壊れます。網は構えて足で追い込む正しい使い方なら、安いタモ網でも長く楽しめます。
ライフジャケット
川に入るときは、どんなに浅くても、どんなに穏やかな川でも必ずライフジャケットを着せてください。
ライフジャケットは、十分な大きさがあるタイプで股ベルト付きのものを選びましょう。スタイリッシュな腰巻きタイプなど、簡易的なライフジャケットもありますが、子どもの命を守るため、十分な浮力のあるライフジャケットを選びましょう。
ウォーターシューズ
ウォーターシューズはかかとまでしっかり覆うタイプを選びましょう。水の中で脱げにくく、肌が出ないことがポイントです。
サンダルやスリッポンタイプのウォーターシューズは避けましょう。
子供の安全は親が守る!子供がのびのび楽しめる川遊びの鉄則
- 親も必ず一緒に川に入る。
- 膝より深いところにはいかない。
- 親か子供よりも常に川下に。
- 道具や靴が流されたら絶対追わない。即決で諦める。
出会った昆虫①:小さなハンター「ハイイロゲンゴロウ」
網を水草の茂みに差し込み、ガサガサと揺すってから引き上げる。泥と枯れ草が混じった中身をそっと白いバットにあけると、黒くて小さな何かが機敏に泳ぎ回りました。
「ハイイロゲンゴロウ」です。
ゲンゴロウの仲間としては小型(1cm程度)ですが、その泳ぎは力強く、まさに水中のハンターといった風貌です。
観察ポイント
- 巧みな泳ぎ方:後ろ脚をボートのオールのように使い、左右同時に水を掻いてスイスイと泳ぎます。
- お尻からの空気補給:ゲンゴロウはエラ呼吸ではなく、お尻の先に空気の玉(気泡)をくっつけて、それを頼りに水中で呼吸します。時折、水面にお尻を突き出して空気を入れ替える様子が観察できるかもしれません。
出会った昆虫②:奥深きヤゴの世界
そして、水生昆虫採集の最大の楽しみが「ヤゴ(トンボの幼虫)」の採集です。
今回も、泥の中からはい出てくるもの、水草にしがみついているものなど、様々なヤゴを見つけることができました。
私がヤゴ採集を好きな一番の理由は、「トンボの種類によって、ヤゴの形が全く違う」ことにあります。
彼らは成虫になると空を自由に飛び回りますが、幼虫時代は1年〜数年を水中で過ごします。その「水中でどう生きるか」という戦略の違いが、姿形に色濃く表れているのです。

観察ポイント:形が違えば、生き方も違う!
今回見つけたヤゴたちも、大きく分けて2つのタイプがいました。
ずんぐりむっくりな「待ち伏せ型」(例:シオカラトンボ系)

- 特徴:平べったく、ずんぐりした体型。体色は泥のような褐色で、短い脚をしています。
- 生き方:泳ぎは得意ではありません。泥の中や枯れ葉の下にじっと隠れ、獲物(ミミズや小さな水生昆虫)が目の前を通るのをひたすら待ち伏せます。
- 魅力:完璧なカモフラージュです。バットの中でも泥と見分けがつかないことがあり、「うわ、こんなところにいた!」と見つけた時の喜びは格別です。
シュッと細長い「探索型」(例:ギンヤンマ系)

- 特徴:ロケットや魚雷のような、流線型の細長い体型。
- 生き方:こちらは「待ち伏せ」ではなく、水草の間などをゆっくりと泳ぎ回り、積極的に獲物を探します。(※ちなみに、ギンヤンマのヤゴはお尻から水を噴射して「ジェット推進」で泳ぐことができます!)
- 魅力:見るからに「ハンター」という格好良さがあります。成虫のギンヤンマが空の王者なら、ヤゴは水中の王者です。
このように、ヤゴの形を見るだけで、「こいつは隠れるのが得意なんだな」「こいつは泳ぎ回るタイプだな」と、その生き様を想像することができます。
「このユニークな形のヤゴは、一体どんなトンボになるんだろう?」
そう考えながら図鑑と見比べるのが、ヤゴ採集の最大の醍醐味(だいごみ)です。
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ヤゴの見分け方に!「水生昆虫ハンドブック」(Amazon) 成虫も調べられる!「日本のトンボ図鑑」(楽天)まとめ:観察が終わったら
初夏の水生昆虫採集は、まるで「宝探し」です。 タモ網の一すくいには、私たちが普段目にすることのない、水中の小さな生態系が詰まっています。
ハイイロゲンゴロウの素早い泳ぎ、そして何より多種多様なヤゴたちのユニークな姿形。ぜひ、その奥深い世界を体験してみてください。
最後の大切なお願い 観察が終わったら、採集した昆虫たちは、必ず元の場所(田んぼや用水路)に逃してあげましょう。彼らもまた、その水辺の生態系を支える大切な一員です。

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